
化粧品を買うときに、『セラミド配合』『ヒアルロン酸配合』と書いてあるのを見て、何となく保湿力がありそうと思って、化粧品を選んでないですか?
どちらも、保湿成分として知られていますが、保湿効果に違いはあるのでしょうか?
違うとすると、どちらの方が保湿効果があるのでしょうか?

セラミドとは?
セラミドは、ヒトの肌に存在する細胞間脂質の主成分で、水分をサンドイッチ状にはさみ込む性質を持った物質です。
セラミドは肌のどこにあり、どんな働きをしている物質なのか、具体的に見ていきましょう。

ヒトの皮膚は3層構造
人の皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されています。
皮膚の3層構造
- 表皮…皮膚の一番外側。表皮の最下層の基底層で肌の細胞が作られ、ターンオーバーによって細胞を変化させながら、肌の表面まで押し上げて古い角層と入れ替わる。
- 真皮…コラーゲンがあるところ。線維芽細胞によって作られた、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が肌の土台を作っている。
- 皮下組織…脂肪があるところ。大部分は皮下脂肪で、血液によって運ばれてきた酸素や栄養を皮膚組織に届けている。

セラミドは肌のどこにある?
角質層は0.02㎜という非常に薄い層で、角質細胞と角質細胞間脂質で出来ています。
角質細胞がレンガ状に積み重なり、その間をセメントのように埋めているのがセラミドなどの角質細胞間脂質です。

セラミドの働き
角質層には角質細胞間脂質(セラミドなど)の他に、天然保湿因子や皮脂膜も肌の潤いを守る保湿物資として存在しています。
- 天然保湿因子(MNF)…角質細胞の中で水分を吸収、細胞内の水分をキープ
- 角質細胞間脂質…角質層の細胞と細胞の間を接着して、皮膚の水分を逃さない、外部刺激を防ぐ
- 皮脂膜…水分の蒸発を防いで細菌などの侵入を防ぐ
これら、3つの物質が、紫外線や異物の侵入、皮膚の水分の蒸発を防ぐ働きを、肌のバリア機能と言います。
角質細胞の中には、天然保湿因子(MNF)という水分を吸着する性質をもつ、アミノ酸などで構成された成分があります。
その角質細胞の間を埋めているのが、セラミドなどの角質細胞間脂質です。
角質細胞間脂質は、水分と油分がミルフィーユ状の層になって、外部刺激による皮膚へのダメージを防ぎ、水分が逃げないように守っています。
さらに、その上に汗や皮脂が混じり合ってできた皮脂膜が肌を覆っています。
このように、角質層にある保湿物質は、働きも、水分保持力も異なります。
特に、角質細胞間脂質のうち約50%を占めているセラミドの水分保持力は強力で、空気が乾燥している環境でも、肌の水分をキープできる性質を持っています。
肌の水分量の80%はセラミドが維持していると言われています。

化粧品のセラミドは4種類、効果が高い順にランキング
一言でセラミドと言っても、化粧品に配合されているものは4種類あります。
浸透性や保湿力でランキングすると下記のようになります。
- ヒト型セラミド…人の肌のセラミドと同じ構造で7種類ある。浸透性と保湿力が高い。肌にやさしい。
- 動物性セラミド…人の肌のセラミドに近い構造。保湿力が高い。
- 植物性セラミド…人のセラミドとは構造が違うが、天然由来で肌にやさしい。
- 合成セラミド…擬似セラミドとも呼ばれる。価格が安い。
最も保湿力があると言われているのが、人の肌に存在しているセラミドと同じ構造を持つように作られた①のヒト型セラミドです。
ヒト型セラミド以外のセラミドは、成分表示ではビオセラミド、植物性セラミド、グルコシドセラミド、セラミド含有米抽出物、などと記載されています。

効果が高いヒト型セラミドは7種類、欲しいのはどれ?
人の肌にあるセラミドは300以上の種類があると言われていますが、特に重要な働きをして化粧品にもよく配合されているものは下記の7種類です。
- セラミド1(EOP)…水分を守って、バリア機能に優れている。
- セラミド2(NS)…保湿力が高く、バリア機能を高める。
- セラミド3(NP)…水分を守り、シワを改善する。
- セラミド4(EOH)…バリア機能を高める。
- セラミド5(AS)…セラミド4と同じく、バリア機能を高める。
- セラミド6、6Ⅱ(AP)…水分を守り、ターンオーバーを促進する。
- セラミド7(AH)…肌の菌のバランスを整える。
これら7種類のセラミドのうち、人の肌に最も多くあって、保湿力が最も高いのがセラミド2(NS)で、 セラミド3(NP)と6(AP)は加齢が原因で減少すると言われています。

ヒト型セラミド配合化粧品の成分表示には、『セラミド+数字』か、『セラミド+アルファベット』で記載されています。
または、「セラミド」とだけ記載されているものもあります。

肌のセラミドが減少?原因はなに?
セラミドは、加齢、季節や環境の変化で減少することがわかっています。
上のグラフのように、角質層がセラミドで満たされている20代と比べると、40代ではほぼ半分にまで減少してしまいます。

ところが、体質的にもともとセラミドが少ない人や、クレンジングや洗顔でもセラミドが減少することがありますので、年齢にかかわらずセラミドの量には個人差があります。

ヒアルロン酸とは?
続いて、ヒアルロン酸は皮膚のどこにあって、どんな役割をしているのか見ていきましょう。
ヒアルロン酸はどこにある?その役割は?
ヒアルロン酸は、表皮の下の真皮に存在しています。
真皮は表皮の10倍の厚みがあり、土台のように肌のハリを支えています。
真皮の中には、コラーゲン繊維が網目状に広がり、そのコラーゲンをエラスチンがつないでいます。

そして、コラーゲンの網目の中を満たしているのがゼリー状のヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸には、水分を蓄えておく性質があり、皮膚の内側で水分を抱え込んでキープしています。

化粧品の中のヒアルロン酸には3種類ある
化粧品に配合されているヒアルロン酸は、主に3種類です。
- ヒアルロン酸Na…このタイプが最も多く使われている。保水力が高く、肌のキメを保つ。トロミがある。
- アセチルヒアルロン酸…角質層への馴染みがいい。保水力が高く、肌を柔らかく保つ。
- 浸透型ヒアルロン酸…ヒアルロン酸の分子を小さくして、角質層に浸透しやすくしたもの。

ヒアルロン酸の量は年齢と共に変化する
ヒアルロン酸は、女性ホルモンであるエストロゲンのサポートを受けて作られます。
しかし、40代後半からエストロゲンの分泌が減り、ヒアルロン酸もそれと共に減少してしまいます。
すると、肌の弾力やみずみずしさが失われ、シワやたるみの原因になるのです。

化粧品に入っているヒアルロン酸の効果は?
化粧品に配合されているヒアルロン酸は、分子が大きすぎて真皮に吸収されることはありません。
しかし、ヒアルロン酸は1gで6ℓの水分を抱え込むことができると言われています。

この保水力を生かした化粧品では、角質層での高い保湿効果が期待できます。
その保湿力は、空気が乾燥した環境であっても一定の保湿性を保つことができると言われています。
また、人の体内にある成分のため、肌なじみがよく、敏感肌の人も安心して使える保湿成分です。

セラミドとヒアルロン酸、どっちが大事?
ということは、結局セラミドとヒアルロン酸どちらが大事なのでしょうか?
皮膚の中でのセラミドとヒアルロン酸
皮膚の中での役割
- セラミド…角質層でバリア機能として働き、水分の蒸発を防ぐ
- ヒアルロン酸…真皮で水分を保つ、皮膚の内側の水分となる
どちらも皮膚の中では重要な役割があり、どちらか一方が不足しても肌は乾燥してしまいます。

化粧品の成分としてのセラミドとヒアルロン酸
化粧品の成分としての役割
- セラミド…角質層で紫外線や大気汚染が皮膚の奥に届かないようにする、水分の蒸発を防ぐ
- ヒアルロン酸…真皮までは届かないから、真皮のヒアルロン酸は増えないが肌に潤いを与える
それでは、化粧品に配合されている成分としては、どちらが保湿効果が高いのでしょうか?
どちらも保湿力はありますが、化粧品の保湿成分としてなら、もともと角質層にあるセラミドの方が優勢です。
真皮に存在しているヒアルロン酸と、化粧品の成分としてのヒアルロン酸は、そもそも役割が違います。
しかし、肌にあるセラミドの働きと、化粧品の成分としての働きは同じです。
セラミドが角質層にあることは、既に説明しましたが、角質層は肌の一番上にあるため、セラミドが必要なところに届きやすいのです。
そのため、少なくなってしまったセラミドを、ダイレクトに化粧品で補う方が効率的です。

保湿化粧品を選ぶときの注目ポイント!
保湿化粧品を選ぶなら、まずは、ヒト型セラミドが配合されているものがオススメです。
ヒト型セラミドを使うメリット
- 肌本来の力が底上げできる。
- 即効性がある。
- 最強の保湿成分である。
特に40代以降は、水分量も皮脂の分泌量も減少してくる年代なので、セラミドで角質層を保湿し、ヒアルロン酸などの油性保湿成分で皮脂の代りにフタをするという保湿ケアも効果的です。

セラミド配合の化粧品を選ぶ時のポイント
- ヒト型セラミド配合のもの
- 出来れば複数種類のヒト型セラミド配合のもの
- 値段は3,000円程度〜
- トロミのある化粧水か、美容液ならジェルタイプ、またはクリームタイプ
セラミドの中でも、浸透性と保湿性に優れたヒト型セラミドで、その内、少なくとも2〜3種類のヒト型セラミド配合のものが良いでしょう。
また、ヒト型セラミドは他の種類のセラミドに比べて原価が高いため、価格の安い化粧品には配合されていません。
されていたとしても、配合量が少ない可能性があります。
そのため、化粧品の成分表示に、『セラミド』、『セラミド+数字』または、『アルファベット』の記載があれば、大体3,000円前後〜の化粧品になります。
セラミドは、水には溶けにくい性質のため、ジェル状の美容液や乳液タイプから選びましょう。

ヒアルロン酸配合の化粧品を選ぶ時のポイント
- 低分子化されたヒアルロン酸を選ぶ
- 化粧水なら、トロミのあるタイプ
- 他の保湿成分も入っているもの(例えば、セラミド、アミノ酸、グリセリン、スクワランなど)
ヒアルロン酸は原価が比較的安いので、価格が安い化粧品にも配合されています。
ただ、一緒に配合されている保湿成分の種類によっても異なりますが、やはり保湿効果を期待するなら1,000円以下の化粧品はオススメできません。

保湿に有効なその他の成分
セラミドと一緒に配合されていることで、ヒアルロン酸と同じく、さらに保湿効果が期待できるその他の保湿成分をご紹介します。
- アミノ酸…バリア機能の一つ、天然保湿因子(MNF)の主成分、保湿効果が高い
- コラーゲン…保湿効果と保護膜を作る作用がある
- グリセリン…水分を吸収する。粘度があり、肌に馴染みがいい
- アーモンド油…肌を柔らかくして、水分の蒸発を防ぐ
- アボガド油…水分蒸発を防ぐ、ビタミンAを含むのでエイジング対策もできる
- コメ胚芽油…保湿効果と肌機能を活性化させる
- スクワラン…肌への浸透性がよく、保湿効果も高い

セラミド配合の化粧品4選

アスタリフトジェリーアクアリスタ
ヒト型ナノセラミド配合の、洗顔後、化粧水をつける前にブースターとして使う美容液です。
アスタリフトは、成分の浸透を高める独自のナノ化技術も魅力の一つですが、こだわりの成分も注目です。
- もともと浸透が良いヒト型セラミドを、さらにナノ化して浸透を高め
- 強力な抗酸化作用を持つ、アスタキサンチンもナノ化
- ビタミンCの中でも特に浸透がいい浸透型ビタミンC誘導体で配合
- 低分子化したコラーゲンなど
成分を見ると、乾燥を防ぎ、ハリを与える成分も、とにかく浸透にこだわりを感じます。
ジェルは柔らかく、肌にのせるとスーッと広がり、浸透を実感できる使用感です。
基本情報
商品名:ジェリーアクアリスタ
価格:9,720円(税込)/内容量40g
価格:12,960円(税込)/内容量60g
ドラッグストアなどでも購入でき、トライアルセットもありますので、お試ししやすい化粧品です。
WEB限定のトライアルセットなら1,000円で、このジェリーアクアリスタと、ハリと美白のホワイトシリーズがラインで試せるので、市販のものよりお得です。
モイスチャライジングセラム
ミネラルメイクで有名なブランド【ETOVOS】のモイスチャライジングセラム。
5種類のヒト型セラミドと、ヒアルロン酸、天然保湿因子(NMF)、植物性プラセンタエキス、スクワラン他植物性保湿成分配合。
エトヴォスのスキンケアシリーズがラインで試せるセット(2週間分)があります。
メディプラスゲル
低刺激と保湿力で人気のオールインワンゲルです。
5種類のヒト型セラミド配合。低分子ヒアルロン酸、2種類のコラーゲン、プロテオグリガン、アミノ酸、数種類の植物性保湿成分配合。
期待できる効果を言い出したらキリがないほど、有効な保湿成分が66種類入っています。
メディプラスゲルの特徴は、ヒト型セラミドや低分子ヒアルロン酸、コラーゲンで角質層に水分を与え、油性保湿成分でフタをするイメージです。
モイストゲルプラス
美容皮膚科医監修のエイジング対策用、オールインワンゲル。
5種類のヒト型セラミド配合。その他の保湿成分は分子を変えた3種類のヒアルロン酸、スクワラン、アミノ酸も入ってます。
さらに、ビタミンC、コエンザイムQ10、レチノール配合がされているので、エイジングケアが同時にできる40代にはうってつけのオールインワンです。
保湿化粧品を選ぶポイントのまとめ

ポイントまとめ
- ヒト型セラミド配合がされている。(2〜3種類入っているものがベスト)
- トロミがあるテクスチャーのもの、またはジェルかクリーム状のもの。
- 3,000円前後を基準に選ぶ。
- ヒアルロン酸だけでなく、複数の保湿成分が入っている。
