私たちの体は年齢とともに変化していきます。
その加齢による変化が、目に見えて現れやすいのが肌です。
同じ年齢でも若々しい肌の人と、実年齢より老けて見える肌の人がいます。
肌の状態によって、見た目年齢と実年齢の差がついてしまうのです。

では、この違いの原因は何でしょうか?
それは、
- 酸化による、体のサビ
- 糖化による、体のコゲ
が原因といわれています。
- サビ(酸化)…タバコ、大気汚染などが原因で体内に活性酸素がたまる
- コゲ(糖化)…体内でタンパク質と糖質が結びついて老化物質が生成される
活性酸素も糖化による老化物質も細胞の機能を低下させて老化を促進させることが分かっています。
ところが、最近では酸化よりも糖化のほうが老化に与える影響が大きく、深刻であるといわれています。
一方では、糖化対策で糖質制限をすることは、ダイエットだけではなく老化改善にも有効だといわれています。

ここでは、糖化は肌にどんな影響があるのか、またどうして起こるのかその原因と、スキンケアで出来る糖化対策、普段の生活から改善する方法を詳しく解説していきます。
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糖化が肌荒れ、シミ、くすみの原因だった
人間の体の、約15%~20%はタンパク質で構成されています。
そのタンパク質と糖質が結合する反応を糖化と呼びます。
そして、糖化によってタンパク質を劣化させてAGEという物質を生成します。
このAGEこそが悪玉物質で老化を促進させる原因なのです。

では、AGEは肌へどのように影響してくるのでしょうか?
まず、AGEはタンパク質が劣化した状態でした。
このため、タンパク質で構成されている組織に影響します。
そこは、肌の真皮を構成しているコラーゲンとエラスチンです。
肌の土台である真皮に存在するコラーゲンとエラスチンはタンパク質で出来ているのです。
肌のハリと弾力は、このコラーゲンとエラスチンで支えられているのです。
この真皮にAGEが溜まると、コラーゲンは硬く薄くなり、弾力が失われていきます。
すると肌にこんな影響が出ます
- シミ
- しわ
- たるみ
- 毛穴の広がり
- くすみ
このような、年齢肌の症状は糖化が原因の一つといわれています。
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本来、肌は新陳代謝によって再生されています。
ところが、ターンオーバーするのは肌の基底層より上の表皮の部分だけ。
つまり真皮は約40日程度では再生されないということになります。
真皮の新陳代謝は約10年以上かかるといわれています。
そのため、真皮では糖化によって生成されたAGEが、長期間コラーゲンに影響を与え続けることになるのです。
また、年齢が上がるほどAGEの蓄積量は増えるという研究結果もあるといいます。
つまり、コラーゲンは新陳代謝が遅いのでAGEは溜まっていく一方なのです。

そして、AGEの量が増えるほど肌の老化は加速するのです。
また、AGEは茶褐色をしているため、肌の内側にAGEががたまるとその色が透けて見えて、肌に透明感が無くなり肌が黄色くくすむ現象がおこります。
これが、老化現象の一つである黄ぐすみです。
一方、化粧品会社の研究では、表皮にもAGEがたまることがわかっています。
表皮のターンオーバーが正常に行われれば40日から50日で角質が剥がれ落ちていきます。
ということは、表皮は糖化反応の影響を受けにくい部分といえます。
糖化のことを詳しく解説
体内で糖化が起こるということは、タンパク質に糖質(ブドウ糖)が結合して、もとのタンパク質の働きを失わせます。
これによって、変性したタンパク質をAGE(終末最終生成物)と呼びます。
このAGEが細胞の機能を低下させて、老化促進に与える影響は、酸化を凌ぐといわれています。
血糖値が高いと老化が進む?
タンパク質と結びつく糖質は主に、炭水化物に含まれています。
食事などから体内に入った糖質は、ブドウ糖として小腸から吸収されて血液中に溶け出します。
そして、膵臓から分泌されたインスリンによって、全身の細胞にブドウ糖を送りエネルギーを作り出します。
この全身を巡る血液中に溶けたブドウ糖が血糖です。
炭水化物を多く含む食事をすると、食後に血糖値が急上昇します。
そして、食後の血糖値が下がらず、いつまでも血糖値が高いままだと、AGEがたくさん作られてしまうのです。
さらに、糖質の多い食習慣は高血糖をまねき、肥満、糖尿病などの生活習慣病を引き起こします。
タンパク質と糖が結合したら糖化反応をおこすということは、血液中のブドウ糖の量を減らす、つまり血糖値を下げる必要があるということです。

健康診断などで血糖値が正常でも、食後に血糖値が下がらなければ糖化の危険性があるということなのです。
ブドウ糖は体のエネルギー源として必要ですが、糖分の過剰摂取が問題となるのです。
食べるとリスクになる食品
また、調理方法によってはAGEを体内に取り込んでしまう食品があります。
調理方法の一例として、ホットケーキの場合
ホットケーキの材料
牛乳、卵、砂糖、小麦粉、バター
この材料を混ぜ合わせて、こんがりときつね色に焼けたホットケーキはいかにも美味しそうですが、これはタンパク質と糖質が結びついて糖化反応を起こしているのです。
この焼き色がAGEです。
特に高熱を加えるとAGEは大量にできるという特徴があります。
AGEが最も多くできるのは、油で揚げる料理です。
AGEが出来る量が多い順番
- 揚げる
- 焼く
- 蒸す、煮る
- 生
この順番で、AGEは減っていきます。
食べ物から体内に取り入れたAGEは約10%は体内に吸収されます。
そのほとんどは尿とともに排出されますが、最後には食べた量全体の0.6~0.7%は体内に蓄積してしまいます。
一度の量としては微量ですが、一度作られたAGEはもとのタンパク質とブドウ糖にもどることはありません。
また、体内に蓄積したAGEが排出されることはなく、AGEはたまる一方なのです。

糖化が原因の代表的な病気
人の体は肌、骨、関節、筋肉、血管、内臓、脳、神経細胞など全身の約15%~20%はタンパク質で構成されています。
このため体のいたるところで糖化のリスクがあるといわれています。
骨粗しょう症
高齢者の女性に多く、骨の約半分を占めるコラーゲン繊維にAGEがつくことにより、もろく折れやすくなります
動脈硬化
血管に溜まった悪玉コレステロールにAGEがつくことで動脈硬化を引き起こします
白内障
眼球の水晶体にあるクリスタリンは一生入れ代わることのないタンパク質のため、AGEがつくと水晶体が濁ります
認知症
糖尿病の人は、血糖値が高いためAGEが大量に出来ることが原因で、認知症になりやすくなるといわれています
また、水晶体のクリスタリンと同様に、関節のコラーゲンも一生入れ代わることのないタンパク質といわれています。

スキンケアで糖化を改善できる?
健康な美肌を保つには、コラーゲンとエラスチンが必要です。
ですが、コラーゲンの入った化粧品を使ってもコラーゲンが増えることはありません。
それは、コラーゲンは分子が大きく肌には浸透しないためです。
ただし、角質を保湿する効果は期待できます。
コラーゲンを増やすには、コラーゲンが作られるときに必要なビタミンCを肌に浸透させる必要があります。
しかし、ビタミンCの成分はこわれやすく不安定なため、化粧品では浸透しにくいといわれています。
この、ビタミンCを安定化させ浸透力を高めたのがビタミンC誘導体です。
このビタミンC誘導体には、肌に浸透した後ビタミンCに変わるという特徴があります。
美顔器のイオン導入をつかえばさらに浸透力はアップします。
また、化粧品会社の研究によりAGEは表皮にもたまることが分かっています。
表皮は約40日で新陳代謝によって再生されます。
ということは、肌表面の古い角質を取り、肌のバリア機能を高め、ターンオーバーが正常に行われれば、表皮はAGEの影響は受けにくい部分といえます。
老化の進行を抑制する方法
糖化を防いで、老化を改善・予防するためには何を食べるかが重要になってきます。
ここでは、避けたほうがいい食品とアンチエイジングのために積極的に摂りたい栄養素や調理方法、生活習慣をご紹介していきます。
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食べる物をキチンと選んで老化を予防しよう
糖質の多い食事は血糖値を急上昇させ体内で糖化→AGE生成のリスクがあります。
またAGEの多く含む食品は、AGEが体内に蓄積してしまうので老化を促進してしまいます。
老化を予防するためには、避けたほうがいい代表的な食品は次の通りです。
糖質の多い食品
ピザ、パン(全粒粉パンを含む)、パスタ、らーめん、丼もの、カレーライスなど
炭水化物が中心のメニューは血糖値が急上昇する可能性があるので、サラダや野菜料理を先に食べるなど、食べる順番が大切です。
AGEを大量に含む食品
フランクフルト、フライドポテト、鶏の唐揚、チキンカツ、ローストビーフ、ベーコンなど
主に、高温加熱で調理されたものです。また、油で揚げていなくても、オーブンで高温で焼いたものも含まれます。ほとんどが、茶色っぽい色をしてコゲがあるものです。

積極的に摂取したい栄養素
アンチエイジングに適している栄養素と多く含む食品
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
ビタミンB1 | 糖質の代謝を促す | 豚肉、タラコ、大豆 |
ビタミンB6 | タンパク質の代謝を促進 | マグロ、カツオ、サンマ |
ビタミンE | 活性酸素の抑制、酸化防止 | アーモンド、ひまわり油 |
ビタミンC | 抗酸化作用、コラーゲンの合成補助 | 赤、黄ピーマン、ブロッコリー |
ビタミンA | 皮膚や粘膜を強くする、目を保護する | アンコウ肝、豚鶏のレバー |
βカロテン | 体内でビタミンAとして働く他、抗酸化作用もある | ほうれん草、にんじん、かぼちゃなど緑黄色野菜 |
ポリフェノール | 抗酸化作用、抗糖化作用 | 赤ワイン |
カカオ・ポリフェノール | 悪玉コレステロールの酸化抑制、赤ワインよりポリフェノールの含有量は多い | チョコレート |
カテキン | 血糖値の上昇を防ぐ、抗酸化作用 | お茶、紅茶、ウーロン茶 |
αリポ酸 | 抗酸化作用 | レバー、緑黄色野菜 |
ビタミンB群は互いに協力して作用するため、サプリなどからの摂取するのがおすすめです。
主食は玄米がおすすめ
白米よりも栄養価が高く、
ビタミンB1は白米の約8倍、
食物繊維は白米の約5倍含まれています。
また、抗酸化作用のあるビタミンEも豊富に含まれています。
食物繊維が多い分、固いのでたくさん噛めて、満腹感も得られます。

調理方法を工夫して老化を防ぐ
同じ食材でも、調理方法が違うだけでAGEの量が変わってしまいます。
例えば、お豆腐は健康的な食材ですが、冷奴とお味噌汁の具としてでは、お味噌汁の具の方が約5倍高いAGE値になってしまいます。
野菜サラダ、冷奴、お刺身、酢の物 など生で食べられるものは生に近い状態で食べることが大切です。
生で食べられないものは、低温でさっと火を通すくらいがAGEを増やさない調理法です。
アンチエイジングのためには食後血糖値と筋肉がカギ
食べた後に運動すると食後血糖値が下がります。
食事で糖質を摂っても20分~1時間以内に有酸素運動をすれば糖質を消費できるので、血糖値を抑えることが出来ます。
食後20分程度のウォーキングがオススメです。
また、筋肉をつけると、筋肉が糖をためてくれるので血糖値が下がります。
特に、お腹、太ももの大きな筋肉を鍛えると基礎代謝が上がって太りにくい体になります。
食べる順番で老化が防げる
消化の悪い、食物繊維が多いものから順番に食べると、血糖値の上昇がゆるやかになり、過剰なインスリンの分泌を抑えることが出来ます。
- 食物繊維が多いサラダなど・・・野菜料理や海藻類
- タンパク質が多い主菜・・・肉や魚料理
- 汁物・・・味噌汁やスープ
- 主食・・・白米や玄米
果物はビタミンも食物繊維も豊富に含まれていますが、甘い果物は果糖が多いため、空腹感がある食前や就寝前などは要注意です。
果糖は吸収が早いので、食べるなら食後にしましょう。

紫外線は美容の大敵
紫外線で老化が促進されることを、光老化と呼びます。
紫外線は真皮のコラーゲンに大きなダメージを与えて、日焼けすることでAGEを増やすといわれています。
季節や天候を問わず、紫外線対策はしっかりしましょう。
夏の紫外線が強いときには、目から紫外線が入るので要注意です。
紫外線カットのサングラスやメガネで紫外線から目を守りましょう。
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まとめ
このように、
糖分の過剰摂取は老化を加速させること、
また体の中にAGEを溜める食べ物がある
ということもわかりました。
ケーキやパンケーキ、菓子パンなどは糖分が多いことはわかりますが、白米やフルーツなどの糖分はそれほど気にすることはなかったのではないでしょうか?
普段の食生活で良かれと思って食べていたものが、老化促進の原因になっていたとしたら、改善の余地があるということですね。
将来の体を作るのは、いま食べているものです。
アンチエイジングのためには、何を食べるかと何を食べないかを厳選する必要がありそうです。